パニック障害

パニック障害

パニック障害

息苦しさや動悸、胸部圧迫感などの身体症状と強い不安感が突然出現します。数分で症状は激しくなり、このまま死ぬのではないかなどの強い恐怖感に襲われます。当初は体の病気を疑われ内科などで検査が行われますが、検査上異常は認められません。パニック障害では、このようなパニック発作が日中に出現し、時には睡眠中に起こります。
発作が見られない時には、パニック発作が起こるのではないかという強い不安感(予期不安)が見られます。しばしば一人で外出することが怖くなり、遠方に出かけることが困難になります。電車などの乗り物に乗ることが出来なくなることもあります。

パニック障害の生涯有病率は2%で、男性より女性の有病率が高いことが報告されています。発症年齢は15=24歳と45~54歳にピークがあり、65歳以後の発症は稀です。広場恐怖は女性に多く、高度な広場恐怖の患者の3/4は女性です。うつ病をはじめとした気分障害の合併率は70%に達します。パニック発作様症状を呈する体の病気も少なくありません。(*1)

抗不安薬やSSRIを初めとした抗うつ薬を用いることにより症状が軽減または、消失することが多いです。時間はかかりますが服薬が不要となる場合もあります。認知行動療法がパニック発作に効果があるという報告もあります。症状が消失しても予期不安により遠出が出来なかったり電車やバスなどの乗物に乗れないこともありますが、治療により行動範囲を少しずつ広げることは可能です。

ICD10の診断基準は下記のとおりです。

  1. 反復性のパニック発作で、特別な状況や対象に一致して伴って来るものではなく、自然に起きることが多い(すなわち、エピソードは予知できない)。パニック発作は、懸命な努力の必要な状況や危険にさらされる状況および生命を脅かされる状況に伴うものではない。
  2. パニック発作は下記のすべてを特徴とすること。
    1. 激しい恐怖または不安の明瞭に区別されるエピソード
    2. 突発的な開始
    3. 数分のうちに最強となり、少なくとも数分間は持続
    4. 下記のうち4項目以上が存在し、そのうち1項目は(a)~(d)のいずれかであること。
      自律神経性の刺激による症状
      1. (a)動悸、または強く脈打つ、あるいは脈が速くなる
      2. (b)発汗
      3. (c)振戦または震え
      4. (d)口渇(薬物や脱水によらないこと)
      胸部、腹部に関する症状
      1. (e)呼吸困難
      2. (f)窒息感
      3. (g)胸部の疼痛や不快感
      4. (h)悪心や腹部の苦悶(たとえば、胃をかき回される感じ)
      精神状態に関する症状
      1. (i)めまい、ふらふらする、気が遠くなる、頭がくらくらする感じ
      2. (j)物事に現実感がない(現実感喪失)、あるいは自分自身が遠く離れて「現実にここにいる感じがしない」(離人症)
      3. (k)自制が出来なくなる、気が狂いそうだ、あるいは気を失うという恐れ
      4. (l)死ぬのではないかという恐怖
      全身的な症状
      1. (m)紅潮または寒気
      2. (n)しびれまたはちくちくする痛みの感覚
    C. 主要な除外基準:パニック発作は、身体的な障害や、器質性精神障害あるいは統合失調症とその関連障害、気分(感情)障害、または身体表現性障害のような他の精神障害によるものではないこと。

パニック発作様症状を呈する体の病気 (*1)

内分泌疾患 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能低下症 低血糖 褐色細胞腫 
カルチノイド症候群 クッシング病
心血管系 不整脈 狭心症 心筋梗塞 非定型胸痛 僧房弁逸脱
神経系疾患 けいれん発作 てんかん 前庭疾患
呼吸器系疾患 慢性閉塞性肺疾患 気管支ぜんそく
物質による誘発 カフェイン コカイン テオフィリン アンフェタミン ステロイド 
アルコール・鎮静薬離脱


●その他の疾患については、PCサイトをご覧ください。


お電話でのお問い合わせ

0466-54-0556
【予約制】お電話にてご予約ください
*受付時間は診療時間終了の30分前までとなります