
強いストレスや心の葛藤があるにもかかわらず、それを自覚できない場合に、心の問題が身体や意識の症状として現れることがあります。
転換性障害・解離性障害は、こうした心理的な要因が背景となって生じる精神疾患です。
- 転換性障害
- 解離性障害
転換性障害
転換性障害は、かつて「ヒステリー」と呼ばれていた状態で、意識化されない心理的な葛藤やストレスが、身体症状として現れる(転換される)と考えられています。
これらの症状によって、一時的に心の葛藤や不安、苦しさが軽減されることがあり、これと「疾病利得」と呼びます。
症状は多彩で、神経の病気では説明がつかない点が特徴です。
主な症状
主な症状には以下のようなものがあります。
- 手足の力が入らない、麻痺がある
- 感覚が鈍くなる、しびれが出る
- 歩行が困難になる
- 不随意運動やけいれん
- 声が出なくなる(失声)
- 視力や聴力の障害
これらの症状に対して、本人が強い不安を示さず、どこか無関心に見えることがあり、これを「満ち足りた無関心」と呼ぶことがあります。
思春期から成人期早期に発症することが多く、発症は突然です。初期には身体の病気が疑われ、医療機関で検査や治療が行われることも少なくありません。
多くの場合、症状は数日から数か月で自然に軽減しますが、心理的な葛藤が生じるたびに繰り返されることもあります。葛藤の原因となっている問題が解決されると、速やかに症状が消失することもあります。
診察や検査、経過から身体疾患が否定されることが多いものの、鑑別がむずかし場合には十分な医学的検査が必要となります。
治療について
治療の基本は、安心感を与える支持的な対応です。情緒的な支援を行い、不安の軽減を図ります。その上で、背景にある心理的な葛藤を整理し、必要に応じて介入します。
例えば、仕事の負担や金銭的な問題など、具体的な生活上の課題がある場合には、業務の調整や具体的な対処法を検討することで症状が改善することもあります。
支持的精神療法に加え、精神分析的精神療法や家族療法が行われることもあります。不安や抑うつが強い場合には、抗不安薬や抗うつ薬を一時的に使用することもあります。
解離性障害
解離性障害も、転換性障害と同様に、意識化されていない心理的な葛藤や強いストレスが背景となって生じます。
主な症状
症状としては、以下のようなものがあります。
- 意識や人格の統合に関する障害(解離)
- 意識がもうろうとする
- 一部の記憶が抜け落ちる(健忘)
- 突然姿を消し、後から記憶がない状態(遁走)
- 重症令では多重人格のような症状がみられることもあります
これらは、戦争体験や自然災害、事故、虐待など、非常に強い危機的状況をきっかけに生じることが多いとされています。
治療について
治療では、まず生活全般の安定を図ることが重要です。安心できる環境を整え、支持的な関わりを通して不安感を和らげます。
あわせて、症状についての心理教育を行い、必要に応じて対処療法として抗不安薬や抗うつ薬が使用されることもあります。
