統合失調症とは

統合失調症は、考え方や感じ方、行動のまとまりが一時的に保ちにくくなる病気です。初期には、気分の落ち込みや不安、不眠などの症状が目立つことが多く、病状が進むにつれて妄想や幻聴といった精神病症状が現れることがあります。

主な症状

陽性症状(比較的目立つ症状)

  • 妄想
    他人に監視されている、つけ狙われていると感じるなど被害的な妄想や、憧れの人物が会いに来てくれるなどの特別な存在として選ばれていると感じる誇大的な妄想などがあります。
  • 幻聴
    誰もいない状況で複数の人から自分に対してはっきりと悪口が聞こえるように感じることがあります。
  • 作為体験
    他人に自分の考えや体を操られているように感じることがあります。

行動や思考の変化

  • 考えや話の内容がまとまりにくくなる
  • 独り言などの奇異な行動が現れる
  • 不安感や緊張感が異常に高まり喋れなくなる
  • 興奮したり怒りっぽくなり家族に対して暴力的な行動をとることもある

自分が病気であるという認識(病識)が乏しく、しばしば幻聴や妄想などの異常な体験に従って行動し、周囲との間で大きな問題が生じることがあります。

陰性状態(慢性期に目立ちやすい症状)

急性期を過ぎると、以下のような症状が前面に出ることがあります。

  • 意欲の低下
  • 抑うつ気分
  • 無為・引きこもり
  • 感情の動きが乏しくなる(感情鈍麻)

これらにより、社会的に孤立しやすくなる傾向があります。

発症時期・頻度・原因について

  • 男女差:ほぼありません
  • 発症年齢:10代後半〜30代が多い(40歳以降の発祥もあり)
  • 男女差:ほぼありません

原因は一つに特定されていませんが、遺伝的要因に加え、出生時の状況、家庭環境、進学・就職などのライフイベントなど複数の要因が関与していると考えられています。

治療について

薬物療法

  • 非定型抗精神病薬
    リスペリドン、パリペリドン、ブロナンセリン、ペロスピロン、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン、アセナピン、アリピプラゾール、ブレクスピラゾール、クロザピンなど(クロザピンは一部の医療機関に限られます)
  • 定型抗精神病薬
    ハロペリドール、ブロムペリドール、クロルプロマジン、レボメプロマジン、フルフェナジン、ゾテピン、スルピリドなど。

主な副作用

  • 軽症なもの
    眠気、ふらつき、便秘
  • 注意が必要なもの
    筋肉のこわばり、肺炎、歩行困難、腸閉塞、水中毒、悪性症候群など

長期間の服用により、体重増加、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病も問題となることもあります

精神療法・心理社会的支援

統合失調症では、病識の欠如があり、診察では可能な限り早期に患者さんとの信頼関係を築くことが非常に重要です。
その中では支持的精神療法が中心となり、病状に応じて心理教育、認知行動療法が用いられます。

家族への支援と入院治療

症状が強い時期には、家族が精神的・新他愛的に疲弊してしまうことが少なくありません。
家族が安心して関われるよう、家族への説明や支援も治療の重要な一部です。外来治療が難しい場合には、本人と家族の安全を守るために入院治療を検討することがあります。

回復期・慢性期の支援

急性期を過ぎた後は、意欲低下や抑うつ症状、無為自閉、感情鈍麻などの症状と付き合いながら生活を整えていく段階に入ります。

  • 精神科リハビリテーションとして、デイケアでの作業療法・運動療法等
  • 日常生活動作(料理・家事)の練習
  • 社会生活で必要なコミュニケーションスキルの習得

ICD-10における研究用診断基準

以下のAに挙げた症候群・症状・徴候のうち1項目以上、あるいは下記のBに挙げた症状・徴候のうち2項目以上が、1カ月以上続く精神病エピソードのほとんどの間(あるいは、ある時期にほとんど1日中)に存在すること。

  1. 以下のうち1項目以上
    1. 考想化声、考想吹入または考想奪取、あるいは考想伝播
    2. 身体あるいは手足の動き、あるいは特定の思考・行為・感覚に明確に関係付けられた、被支配妄想、被影響妄想、あるいはさせられ体験。妄想知覚。
    3. 患者の行動に実況解説を加える幻声、患者について話し合う幻声、あるいは身体のある部分から聞こえる他の型の幻声
    4. 文化的に不適切かつ全くあり得ない、他の種類の持続的妄想(天候をコントロールできる、宇宙人と交信できるなど)
  2. あるいは、以下のうち2項目以上
    1. 感覚の種類を問わず持続性の幻覚が、1カ月以上毎日出現し、明らかな感情的内容のない妄想(浮動的あるいは形成の不完全なことがある)、あるいは持続性の優格観念(支配観念)を伴う。
    2. 言語新作、思考途絶、あるいは思路への割り込み、その結果、滅裂や的外れな会話が生じる。
    3. 興奮、常同姿勢、蠟屈症、拒絶症、緘黙、混迷などの緊張病性行動
    4. 顕著な無感情、会話の貧困、情動的応答の鈍麻あるいは不一致などの「陰性」症状(これらは抑うつや抗精神病薬投与によるものでないことが明らかでなければならない)
  3. 除外基準
    1. 患者が躁病エピソードやうつ病エピソードの基準も満たす場合、気分障害が生じる前に上記のAとBに挙げた基準が満たされていなければならない。
    2. この障害は、症状性を含む器質性精神障害や、アルコールや薬物関連の中毒、依存、離脱によるものではないこと。