伝統的にはヒステリーと言われたもので、意識化されない心理的葛藤により身体症状が生じる(転換される)と考えられています。これらの身体症状によって患者は一時的にせよ葛藤から解放されたり、葛藤による不安や苦しみが軽減すると考えられます(疾病利得)。身体症状は多彩で神経学的には説明つかず、運動障害や感覚障害などが認められます。
感覚の鈍麻や麻痺、歩行困難、不随意運動、けいれん、声が出ない(失声)、視力障害、聴力障害が生じます。患者はこれらの身体症状にたいして、無関心であったり容易に受容している態度が見られます。
どの年齢でも生じますが思春期や成人期早期に初発することが多く、発症は突然で、当初は身体疾患が疑われ医学的な検査や処置が行われることもあります。ほとんどの場合、数日から数か月で症状は消失しますが、心理的葛藤が生じるたびに繰り返されることもあります。葛藤となる問題が解決されると、速やかに症状が消失することもしばしばあります。
診察や問診、検査、病状の経過から身体的疾患が否定的となる場合は多いですが、身体疾患との鑑別が困難な場合には詳細な医学的検査が必要になります。
治療法としては、先ず支持的な対応で情緒的な援助を行い不安軽減に努める一方、患者の心理的葛藤を特定し、時に介入することもあります。
例えば仕事や借金など具体的な問題の場合には、職務軽減や返済に関する具体的な対処法を検討することで病状が改善することもあります。支持的精神療法と共に洞察を求める精神分析的精神療法、家族療法を行ったり、不安や抑うつへの対処法として抗不安薬や抗うつ薬を一時的に使用することもあります。
転換性障害と同様、意識化されない心理的葛藤により生じます。症状として、意識や人格の統合に関する障害(解離)があります。具体的には、意識がもうろうとしたり、記憶が無かったり(健忘)、重症になると行方不明(遁走)や多重人格などの症状を認めます。戦時下や自然災害など強烈な危機的状況で生じることが多いです。
一般的な対応として、生活全般について安定を図るよう支援を行い支持的な対応で不安感を和らげるとともに、心理教育を行ったり対処療法として抗不安薬や抗うつ薬を用いることもあります。
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