身体表現性障害

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身体表現性障害

身体表現性障害

身体的疾患の原因が認められないにもかかわらず繰り返し身体症状を訴え、医学的には異常が無いことを説明されも受診や検査を執拗に繰り返します。例え何らかの身体的な疾患があったとしても、その疾患の性質や程度からは、身体的症状や生活上の困難は説明できません。身体表現性障害には、下記の疾患が含まれます。

身体化障害

種々で多彩な身体症状が長年続いており、苦痛が強く日常生活上患者さんはそれらの症状にとらわれます。身体症状について検査を繰り返したり専門医が診察をしてもはっきりとした原因が分かりません。医学的に問題が無いことを説明した場合、直ぐには理解した様子ですがしばらく時間が経つと医学的に異常が無いことは受け入れられなくなります。精神科を受診するまでに数年かかることが多いです。

身体症状としては、腹痛や膨満感、悪心などの消化器症状、胸痛などの循環器症状、排尿困難や生殖器に関する不快感や痛み、皮膚症状や整形外科的な身体の痛みなどがあります。身体化障害ではうつ病に認められる抑うつ気分や興味の消失、意欲の低下などの症状は認められませんが、時間の経過とともにうつ症状が顕著となりうつ病が合併したり、うつ病と診断が変更されることもあります。

原因として心理的な葛藤やストレスが関わっていることがあり、ストレスを軽減することで症状が軽減することがあります。しかし、そのようなストレスとなるような悩みがむしろ全くないこともしばしばあります。治療法としては、環境調整、抗不安薬や抗うつ薬などの薬物療法の他に、運動や作業により軽減する場合があります。独居による孤独な生活が要因となり、寂しさや不安・孤独感から身体症状を訴える高齢者の方が少なくないような気がします。

ICD10の診断基準は下記のとおりです。

  1. 2年以上に及ぶ多彩かつ易変的な身体症状の訴えが存在し、それを説明しうる身体的な障害が見いだされないこと(身体的な障害の存在がはっきりしていても、症状の強さ・範囲・多様さ・持続、または症状に伴う社会的な機能障害を説明しえない)。もし症状の中に自律神経刺激によることが明白なものであったとしても、特に持続性でも苦痛を伴うものでもなければこの障害の主症状とはならない。
  2. 症状へのこだわりは長く続く苦痛によってもたらされ、相談あるいは通常の検査を求めてプライマリーケア医や専門医を(3回以上)繰り返し受診する。患者が、経済的あるいは物理的に手の届く範囲内で医療サービスが得られない場合には、持続的に自分で薬を飲んだり地域の祈祷師を何度も訪れたりしていること。
  3. 身体症状を説明するだけの身体的原因がないという医療者側の説明を、医学的検索の直後または数週間という短期間を除いては頑固に拒否すること(そうした際保障の短期間、つまり検査中あるいは検査直後の2~3週間だけ説明を受け入れるような場合はこの診断を付してよい)。
  4. 次にあげる項目の内、別々の2系統以上の症状群から、遭わせて6症状以上認めること。
    消化器症状

    身体表現性障害

    1. 腹痛
    2. 悪心
    3. 膨満感やガス充満感
    4. 口腔内違和感、舌苔の肥厚
    5. 嘔吐または食物の逆流の訴え
    6. 腸蠕動亢進と低下または下痢の訴え
    循環器症状
    1. 安静時の息切れ
    2. 胸痛
    泌尿器症状
    1. 排尿困難または頻尿の訴え
    2. 生殖器内またはその周囲の不快感
    3. 膣分泌の異常または増加の訴え
    皮膚と疼痛症状
    1. 皮膚のしみや変色の訴え
    2. 手足・上下肢・関節の痛み
    3. 不快な痺れやひりひりする感覚
  5. 主な除外基準:統合失調症とその関連障害、気分(感情)障害、あるいはパニック障害の罹病期間中だけに起こっているものではない。

心気障害

身体症状に対する誤った解釈に基づき、がんなどの命に係わる重篤な病気に罹っているという確信および、それに伴う恐怖心や不安が強く、社会生活に大きな支障をきたします。医学的な検査や説明によってそういった病気に対する考えが修正されることはほとんどありません。

一般人口の有病率は不明です。性差は無く、一般の医療機関における有病率は4~9%という報告があり、うつ病や不安障害など他の精神疾患の合併率は約80%という報告があります。重度なうつ病では心気症状が妄想に至る場合があり、うつ病との鑑別が重要になりこともあります。

治療法としては、身体化障害と同様で、ストレス軽減などの環境調整、薬物療法などがあります。

ICD10の診断基準は下記のとおりです。

  1. 次の(1)、(2)のいずれかがあること。
    1. 6か月間以上持続する、2種以上の重度な身体疾患があると持続的に確信していること(そのうち1つ以上は、患者自身により病名を特定されていなければならない)
    2. 奇形や集計ではないかという持続的な拘り(醜形恐怖障害)
  2. 確信や症状へのこだわりのため、患者は執拗に悩んで日常の仕事に支障をきたし、また医学的治療や検査(または地域の祈祷師による同様の援助)を求めることになる。
  3. 症状または身体の奇形を説明するに足りる、身体的原因がないという医療者側の説明を、医学的検査の直後または数週間という短期間を除いては頑固に拒否すること(そうした際保障の短期間、つまり検査中あるいは検査直後の2~3週間だけ説明を受け入れるような場合はこの診断を付してよい)。
  4. 主な除外基準:統合失調症とその関連障害、気分(感情)障害の罹病期間中だけに起こっているものではないこと。

身体表現性自律神経機能不全

系統的器官における自律神経症状として、動悸、発汗、紅潮、振戦などの他覚的な自律神経亢進に基づく症状が特徴です。詳細な疫学は不明です。症状として身体化障害と重なる部分が多く、鑑別が困難な場合が多いです。治療法としては、身体化障害と同様で、ストレス軽減などの環境調整、薬物療法などがあります。

ICD10の診断基準は下記のとおりです。

  1. 次の系統または期間のうち1つまたはそれ以上に、患者が身体疾患とみなす自律神経性の刺激による症状があること。
    1. 心臓及び心血管系
    2. 上部消化管(食道・胃)
    3. 下部消化管
    4. 呼吸器系
    5. 泌尿生殖器系
  2. 身体表現性障害

  3. 次の自律神経症状のうち、2項目以上があること。
    1. 動悸
    2. 発汗(熱汗もしくは冷汗)
    3. 口渇
    4. 紅潮
    5. 心窩部の不快感、胃部のどきどきする感じ、胃をかき回される感じ
  4. 次の症状のうち、1項目以上があること。
    1. 胸痛、前胸部およびその周囲の不快感
    2. 呼吸困難、過呼吸
    3. 軽度労作時の過度の疲労
    4. 空気嚥下症、吃逆、胸部・心窩部の灼熱感
    5. 腸蠕動亢進の自覚
    6. 頻尿、排尿困難
    7. むくんでいる、膨らんでいる、重苦しいという感じ
  5. 対象者がこだわっている系統や器官の構造や機能に障害があるという証拠を欠くこと。
  6. 主な除外基準:恐怖症性障害またはパニック障害の存在下においてだけ見られるものではないこと。

持続性身体表現性疼痛性障害(疼痛性障害)

身体部位の痛みを中心とした訴えが長期間持続します。様々な治療に対して効果が乏しく、精査を行っても原因が不明である場合が多いです。例え原因となる身体疾患が認められても痛みを説明する程度の器質的要因は認めません。当初は内科、外科、整形外科などを受診されますが、痛みに対するとらわれが強く各科における治療効果が乏しいです。不眠や抑うつなどの精神症状を伴うことが多いため、その後は主治医に勧められて心療内科や精神科を受診されます。

心理的要因が関与していることが多いと言われていますが、不明であることも少なくありません。治療法としては三環系抗うつ薬、SSRI、およびSNRIなどの抗うつ薬や抗不安薬を中心とした薬物療法、精神療法、心理教育、認知行動療法などがあります。さらに、精神科リハビリテーションなどが行われることがあります。日常生活における軽度の運動により痛みの軽減が認められることもあります。鎮痛薬や抗不安薬による依存症が生じている場合もあり、薬物療法には注意が必要です。

ICD10の診断基準は下記のとおりです。

  1. 身体のさまざまな部位において持続性(6か月以上の間、ほとんど毎日のように続いて)で重度な不快な疼痛がある。その痛みは生理的過程または身体的障害によって十分に説明のつくものでなく、常に患者の最大の関心の的であること。
  2. 主な除外基準:統合失調症とその関連障害の存在下、あるいは気分(感情)障害や身体化障害、鑑別不能型身体表現性障害および心気障害の罹病期間中だけに起こっているものではないこと。

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