全般性不安障害

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全般性不安障害とは

全般性不安障害とは

特定されない多数の事柄に関する持続的で過剰な不安や心配が特徴です。不安や心配の対象は日常的なことが多く、仕事や経済的な問題、家族や自分自身の健康等があります。身体症状を伴い、自律神経系の刺激による症状、胸部や腹部に関する症状、精神に関する症状、全身的な症状、運動性緊張の症状などが見られます。

1年有病率は3%、生涯有病率は5%という報告があります。
男女比は1:2で、女性に多く、発症年齢は成人期初期が多いです。原因として弱い遺伝因子が推測されており、ノルアドレナリン、セロトニン、GABA等の関与が研究されています。

全般性不安障害の症状は他の精神疾患と共通したり似ているものが多く、他の精神疾患と合併することがしばしば見られます。合併する疾患として大うつ病性障害(62%)、気分変調症(40%)、アルコール依存症(38%)、パニック障害(24%)などがあります。身体表現性障害や疼痛性障害との合併も指摘されています。

SSRI、SNRI、や三環系抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、タンドスピロンが薬物療法として使用されます。不安に対する非薬物療法として、心理教育、認知行動療法、リラクゼーションがあります。

ICD-10における研究用診断基準は下記のとおりです。

  1. 日常の出来事や問題について、少なくとも6か月間持続する、顕著な緊張、不安や心配の感情があること。
  2. 次の内少なくとも4つが存在し、そのうち1つは自律神経性の刺激による症状である(1)~(4)のいずれかであること。
    1. 自律神経性の刺激による症状
      • (1)動悸、または強く脈打つ、あるいは脈が速くなる
      • (2)発汗
      • (3)振戦または震え
      • (4)口渇(薬物や脱水によらないこと)
      胸部、腹部に関する症状
      • (5)呼吸困難
      • (6)窒息感
      • (7)胸部の疼痛や不快感
      • (8)嘔気や腹部の苦悶(たとえば、胃をかき回される感じ)
      精神状態に関する症状
      • (9)めまい、ふらふらする、気が遠くなる、頭がくらくらする感じ
      • (10) 物事に現実感がない(現実感喪失)、あるいは自分自身が遠く離れて「現実にここにいる感じがしない」(離人症)
      • (11) 自制が出来なくなる、気が狂いそうだ、あるいは気を失うという恐れ
      • (12) 死ぬのではないかという恐怖
      全身的な症状
      • (13) 紅潮または寒気
      • (14) しびれまたはちくちくする痛みの感覚
      運動性緊張の症状
      • (15)筋緊張、もしくは痛みや疼痛
      • (16)落ち着きのなさ、リラックスできないこと
      • (17)感情の高ぶり、イライラ感、精神的な緊張感
      • (18)喉のつかえた感じ、嚥下困難
      非特異的な症状
      • (19)些細な驚きや驚かされることに対しての過剰な反応
      • (20)心配や不安のために、集中できなかったりぼんやりする
      • (21)持続的な易刺激性
      • (22)心配のための入眠困難
  3. この障害はパニック障害、恐怖症性不安障害、強迫性障害、あるいは心気障害の診断基準を満たさないこと。
  4. 主要な除外基準:この不安障害は、甲状腺機能亢進症、器質性精神障害のような身体的障害、あるいはアンフェタミン様物質の過剰摂取やベンゾジアゼピン系薬物の離脱といった精神作用物質に関連する障害によるものではないこと。

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