統合失調症

不安やうつの事例

患者の気持ち

統合失調症

初期には抑うつ症状や不安感、不眠が認められます。病状が進行すると妄想や幻聴などの精神病症状が出現します。妄想の内容は様々ですが、他人から監視され付け狙われていると感じることがあります。憧れの人物が会いに来てくれるなどの誇大的な内容の妄想も認められます。誰もいない状況で複数の人から自分に対してはっきりと悪口が聞こえるような幻聴が認められることがあります。

考えや行動がまとまらなかったり、衝動的に行動したり、独り言などの奇異な言動や行動が現れることもあります。喋らなくなったり、逆にイライラすることが目立ち怒りっぽくなる場合もあります。

生涯有病率はや0.5~1%で、青年期である10代後半から成人早期である20代に発症しますが、30~40代で発症することも稀ではありません。性差はなく、原因として遺伝的要因のほかに、冬季の出生、出産時の合併症、家庭環境やストレスフルイベントなど複数の要因が考えられています。

治療法として薬物療法および精神療法、精神科リハビリテーション、環境調整などがあります。薬物療法には非定型抗精神病薬として、リスペリドン、ペロスピロン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ブロナンセリンなどがあります。定型抗精神病薬としてハロペリドール、ブロムペリドール、クロルプロマジン、レボメプロマジン、フルフェナジン、ゾテピン、スルピリドなどがあります。

抗精神病薬による副作用には軽症なものでは眠気、ふらつき、便秘などがあります。筋肉のこわばり、肺炎、歩行困難、腸閉塞、水中毒、悪性症候群などが生じる場合もあります。長期間の服用により肥満、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病が問題となります。

統合失調症の症状で大きな問題の一つが病識の欠如です。診察では可能な限り早い段階で患者さんとの信頼を築き良好な治療関係を作る必要があります。その中では支持的精神療法が中心となり、病状に応じて心理教育、認知行動療法が用いられます。

精神症状が激しくなり家族が疲弊している場合がしばしばあり、家族への介入が必要になることがあります。家族が患者さんに対してどう接して良いのか分からず混乱されていることが多く、家族が精神的に不安定となり患者さんの病状に影響していることがあるので、治療上家族の精神的な安定は重要です。

慢性的な経過をたどることが多いため、急性期を過ぎた後は精神科リハビリテーションが重要になります。デイケアにおいて作業療法等を行うことにより、日常のストレスを解消したり、集中力を高めることができます。その他に作業療法では生活をするうえで必要となる料理等の家事作業を身に着けたり、社会生活で必要となるコミュニケーションスキルを習得します。

ICD-10における研究用診断基準は下記のとおりです。

以下のAに挙げた症候群・症状・徴候のうち1項目以上、あるいは下記のBに挙げた症状・徴候のうち2項目以上が、1カ月以上続く精神病エピソードのほとんどの間(あるいは、ある時期にほとんど1日中)に存在すること。

  1. 以下のうち1項目以上
    1. 考想化声、考想吹入または考想奪取、あるいは考想伝播
    2. 身体あるいは手足の動き、あるいは特定の思考・行為・感覚に明確に関係付けられた、被支配妄想、被影響妄想、あるいはさせられ体験。妄想知覚。
    3. 患者の行動に実況解説を加える幻声、患者について話し合う幻声、あるいは身体のある部分から聞こえる他の型の幻声
    4. 文化的に不適切かつ全くあり得ない、他の種類の持続的妄想(天候をコントロールできる、宇宙人と交信できるなど)
  2. あるいは、以下のうち2項目以上
    1. 感覚の種類を問わず持続性の幻覚が、1カ月以上毎日出現し、明らかな感情的内容のない妄想(浮動的あるいは形成の不完全なことがある)、あるいは持続性の優格観念(支配観念)を伴う。
    2. 言語新作、思考途絶、あるいは思路への割り込み、その結果、滅裂や的外れな会話が生じる。
    3. 興奮、常同姿勢、蠟屈症、拒絶症、緘黙、混迷などの緊張病性行動
    4. 顕著な無感情、会話の貧困、情動的応答の鈍麻あるいは不一致などの「陰性」症状(これらは抑うつや抗精神病薬投与によるものでないことが明らかでなければならない)
  3. 除外基準
    1. 患者が躁病エピソードやうつ病エピソードの基準も満たす場合、気分障害が生じる前に上記のAとBに挙げた基準が満たされていなければならない。
    2. この障害は、症状性を含む器質性精神障害や、アルコールや薬物関連の中毒、依存、離脱によるものではないこと。

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湘南吉田クリニック

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